ヴェネチアは少女漫画の聖地でもあります
今週のお題「読書の夏」どうも千日です。ヴェネツィアはジョジョだけでなく、少女漫画の舞台にもなってますね。
千日にとってのヴェネツィアはジョジョ第5部の舞台であると同時に、知る人ぞ知る、森川久美氏のヴァレンチーノシリーズの舞台です。
ヴェネツィア ドゥカーレ宮殿の黄金階段の天井の装飾
ヴェネツィアは干潟に木の杭を打って出来た人口の島です。『ヴェネツィアを逆さまにすると森が出来る』なんて言われてます。
建物の軽量化の為にイタリアの建物には珍しく木が多く使われています。天井の装飾は木で彫って金箔を貼り付けて作られています。
千日が少女漫画を知ってるのは少し歳の離れた姉がいたからです。父の教育方針で一切のマンガを禁じられていましたが、姉は隠れて読んでたんですよね。姉の隠していたマンガを、さらに姉に隠れて私も読んでたという訳です。
当時の千日は小学生、姉は高校生でした。
森川久美氏の少女漫画作品ヴァレンチーノシリーズについて
ヴァレンチーノシリーズは森川久美氏の代表作と言ってもいいと思います。もう一つの代表作の『南京路に花吹雪』の方が有名かもしれませんが。
主人公は女性ながらヴェネツィアを統治する元首(ドージェ)です。元首としては男として振る舞い、本名のヴァレンチーナではなくヴァレンチーノと名乗ります。
ドゥカーレ宮殿の謁見の間
その共和国の元首の謁見の間は、豪華さだけではない凄みのようなものを感じます。
これだけ聞くとベル薔薇っぽいですが、作品全体を流れる暗く退廃的なムードはどちらかというと『薔薇の名前』に近いです。ストーリーの主軸に男女間の恋愛は一切ありません。
主人公のヴァレンチーノは陰険で性格が悪く、恐ろしく頭が切れます。彼女を陥れようと、色んな悪人が彼女に挑むのですが、ことこどく退けられます。他でも無い彼女が最も悪人だからです。
ヴェネツィアの元首(ドージェ)
ヴェネツィアは『最も高貴な国』や『アドリア海の女王』などと称されます。東地中海貿易で栄え、この時代に信教の自由や法律による支配が徹底されていました。
ドゥカーレ宮殿の謁見の間の隣にある法廷
ヴェネツィア本島の面積は5キロ平米ほどです。それでいて海上交易で栄え軍事力をも持ち、1000年以上続いたというのは稀有なことです。
言ってみれば築地市場が1000年独立国家として栄えたようなものです。
初期のヴェネツィアの元首(ドージェ)は独裁的な権限を持っていましたが、後に就任の際に宣誓を求められるようになり、最終的に権力は大評議会と共有されるようになったそうです。
元首も世襲にならないように工夫されていました。まずクジで30人を選びさらにクジで9人に絞られ、その9人が40人を指名し、その40人はクジで12人に絞られ、その12人が25人を選び……というのを繰り返して元首を選ぶ41人を決めたらしいです。
対外的には領土争い、内政ではお互いが牽制し合って、当初はほぼ国土を持たなかったヴェネツィアがこんなにも長く続いたのは奇跡のようにも思えます。
しかし逆に激しく牽制し合う状態だったからこそ硬直化することなく強い国家を維持し続けられたのかもしれません。
ドゥカーレ宮殿の大広間 天国を描いた壁画
干潟の上に築かれたヴェネツィアで最も贅沢な空間の使い方だと言われるドゥカーレ宮殿の大広間は、小学校の体育館より小さいです。
しかし正面の壁画に描かれた『天国』の絵には圧倒されます。聖人を囲みおびただしい人々が光を求める様は、とてもパラダイスには見えません。
- ヴェネツィアとヴェネツィアを囲む国々
- 元首(ドージェ)と元首(ドージェ)を囲む人々
を象徴してるかのように思えます。千日はヴァレンチーノをして、陰険で性格が悪く恐ろしく頭の切れる大悪人と評しましたが、そうでなければ生きていられない世界に住んで居たということなのでしょう。
本物を見て蘇った感動
森川久美氏のヴァレンチーノシリーズは当時小学生の私には少し難解でした。しかし、十分に衝撃でした。
当時はまさか自分がこのヴェネツィアに来るなんて、ドゥカーレ宮殿に入るなんて想像だにしませんでした。
あまり関係ないですが、ウに濁点とのファーストコンタクトでもありましたね。
『ウ』に濁点??なんて読むんや?
読み方が分かりませんでした。隠れて読んでたので姉にも聞けませんでしたσ(^_^;)中学生になってやっと謎が解けましたが、それまでは『グ』の間違いだろうと思ってました。
なお現在、森川久美氏のヴァレンチーノシリーズは絶版のようです。久しぶりにまた読みたくなりました。
ちょっと探してみようかな…