千房千日前本店へ行ってきた
妻と妻の友人、私の両手に花でお好み焼きの『千房』千日前本店へ行って参りました。『お好み焼き』といえば…の超メジャー店です
とん平焼きに放たれるプロの技、マヨビーム
千房は創業昭和48年、私とほぼ同い年です。関西を代表するお好み焼きで大阪でトップクラスな訳ですから日本でもトップクラスのお店です。
なお、『広島焼き』は除きます。こう断わっておかないと、広島県の読者の方からやんわりとお叱りを受けるからです。
私B「なんでまた、そういうデリケートなジャンルを選ぶんだ?」
私A「ちゃんとケアしてるだろう。『広島焼き』は除くって」
私C「『広島焼き』は『お好み焼き』じゃないの?」
私AB「そういう言い方をすると、読者の皆様が誤解するだろう?」
私は高校生になるまで『広島焼き』というものを食したことはありませんでした。
私の高校は全寮制で全国から生徒が集まって来ており、入学間も無く、大阪の生徒と広島の生徒との間で仁義なき『お好み焼き代理戦争』が勃発したのです。
1980年代の後半です。当時インターネットはまだ普及しておらず、お互いが自らの地元で慣れ親しんだ味と大人達から刷り込まれた教育を武器に相手を攻撃する、それは血で血を洗わない凄まじい舌戦でありました。
高校生になりたての子供にとって、彼らが食べてきたお好み焼きの大部分は母が作るお好み焼きです。
互いに『おまえのカアちゃんデーベーそー』と言い合っていた訳です。(議論の内容はもう少し高度でしたが)大人同士のお好み焼き論争も根っこは同じというのが、大人になった現時点の私の見方です。
ソースをたっぷり塗ったお好み焼きに放たれるマヨビーム
左端 広島焼きミックス
中央 季節メニュー(牡蠣とトロロ)
右端 道頓堀焼き
お好み焼きの千房 人情の味
千房は元受刑者を正社員として雇用し、その更生のサポートをしています。このような企業のCSR活動についての私の考え方については、むしろ極めて利己的な動機によるものだというものです。
しかし、風評被害というものが時に致命的なダメージとなる飲食業で正社員に前科者と後指を刺される者を雇い入れること、また、それを公表することは企業の存続に関わるリスクです。
これについて、企業の利己的な動機からとは私は考えられません。
中井政嗣さんは本当に優しい人なんだと思います
元受刑者を採用した当初、社長の中井政嗣氏の脳裏には「お客さんが来なくなり、会社がつぶれるかも」という不安があり、周囲からもかなりの批判があったそうです。
私A「約560人の従業員、その家族の生活を背負う気概を持った昔気質の社長にとって、その不安がどれほどのものだったか」
また、中井社長自身が面接を行うことも多く「いかにも罪を犯したという顔が、時間がたつとそうとは思えない顔つきにかわる」その成長が喜びだと語っています。
私B「そんな顔つきのヤツをよく雇う気になるな、獅子身中の虫になるかもしれないんだぜ」
一方では罪を犯した従業員をその公表前に解雇し『元』という冠詞付きで呼ぶ企業もあれば千房のような企業もあるんですね。
私C「そこは余分でしょ、犯罪の被害者その家族、関わりの無い従業員のことを思えば自己防衛としてむしろ自然だよ?普通じゃない(良い意味で)のは千房なんだ」
千房が社会に投じた一石には賛同の声が集まり、「職」を通じて「親」になる、矯正施設からの出所者を積極的に民間企業が雇用する『職親プロジェクト』として全国的な拡がりを見せています。
私A「つまり、大阪千房のお好み焼きの味は大阪人の人情の味なんだ」
私BC「上手くまとめたな」
マヨビームの後、コテでスジを付けてフィニッシュ。とてもキレイです。
私「どれが一番美味しい?」(妻の出身は大阪でも広島でもありません)
妻「広島焼き」
私ABC「それで締めると、読者の皆様が誤解するだろう?」
以上、千日のブログでした。